恩を知る

念仏申せ。肩に微塵の荷物もなくなるまで念仏申せ。
念仏申せ。富士の山より重い荷物の肩にあるまで念仏申せ。


恩に生きる者は輝き、恩を知らざる者は濁る。


恩を知る者は歓喜し感謝して光り、恩を知らざる者は、灰色に曇る。
恩を知る者は満される。満されるが故に報謝す。


たとえその両肩に重きを荷負いて、千里の遠きに足を運ぶも猶足れりとせず、しかも念々に満ち足りて、不足を知らぬところに恩を知る者の報謝の生活がある。
信心は、如来の真実によって満され、満されたるが故に、溌剌として如来の御心に生きる知恩報徳の生活となる。


歓喜必ずしも信心ではないが、信心は必ず歓喜である。
恩を知る心は、その独りゐに謹み、微笑し、輝き生きる。
恩を忘るゝ貪欲は、必ず人を欺き、その独りゐに乱る。


恩を知る弟子は、その師をして安心せしめ、恩を知る子は、その親をして喜ばしむ。
師を安ぜしむる弟子にして、師を超えて大成し、親をして喜ばしむる子にして、人生の公道を歩む。千里の遠きにあって、師を思い、親を忘れざる子に、堕落なし。


恩を知らざる者は慚愧を知らず。慚愧を知らぬ者は恩を知らず。

無漸無愧と忘恩とは、表裏一体である。