師と弟子

 

法然上人と親鸞聖人との間のような、切っても切れぬような関係で師匠を有する者は幸である。

師と弟子との間は物質によっては結ばれぬ。

師の人格を信ずる心、

師の全てを受け入れる心、

師を尊敬し、愛慕する心、

これが弟子を師につなぐ心であり、

弟子を真に愛する心、弟子の全てを赦す心、

この心、師と弟子とを一つにする心である。 


我が全部を師匠の前に投げ出してその教えを乞うことの出来るほど、尊敬愛慕する師を持った者は幸である。 

真に師を慕い得る愛の人でなけねば、師より真の独立が出来るものではない。


見よ。

「たとひ法然上人に賺されまいらせて 念仏して地獄に堕ちたりとも さらに後悔すべからず侯」とまで、師匠法然に信順せる聖親鸞にしてはじめて、

師匠よりも進んだ独特の天地に出でて、宗教史上の開祖となったではないか。

真に慕い得る師をもつ者は恵まれた人であり、

敬慕しきることの出来る心情を有することは、

心の泉を掘ることの出来る第一条件である。

 

(光明 第7巻第7号 「心の清水」)