南無阿弥陀仏 

衣服の色柄を言われるくらいで二日も三日も苦しまねばならぬ老婆が、

親鸞聖人の稲田の草庵における弁円との事実を、ただ有難いことと涙を流しています。

生活は出来てゐなくても涙は流れる。


彼等はただ親鸞見物人にすぎない。
我等はただ聖者の見物人であっていいのか。


あなたの中には、どれだけの力がある!


つまらぬ善悪観念や、世間態に心をひかれる弱虫に何が出来よう。


如来があるのかないのか、そんなぐうだらな質問にお答えする時間を持たない。


全我をなげ出せ、奇蹟が生れる。


たゞそれだけだ。


南無阿弥陀仏は

如来の生命であると共に

煩悩に燃えあがる人間のいのちである。

          

  (「光明」第13巻 第6巻 ひとつの生命 )