ーやすらぎー

 真の安らぎは平等絶対の恵みの中にまかせきって生きてゆく合掌の世界にある。


 真の安らぎを求める人の世界に嫌な不安や争闘や罵りや陥りがはてしもなくつづく。 我らは嫌でもその中に住まねばならない。

 安らぎを求めるからとて、何時までも安らぎの中に平安な眠りを貪ってはいられない。それは卑怯である。むしろそうした苦悩に満ちた人生の波乱のただ中に立って安らぎを生かさねばならない。


 安らぎは単なる安らぎではない。動乱の中の安らぎである。
 真の安らぎに生きた心でこの動乱を受け取ってゆく。
 動乱や変化のない単なる安らぎは、意義なき平安である。


 禍や悩みや不安を亡ぼすのでなくて、静かにこれを動かぬ心に受けてゆくのである。安らぎの尊いのはそこにある。


 動かぬ世界に心を樹て、それを背景に限りなき生死の無明の世界に生きてゆく。具体的な人生はそこにあるのだ。

 

(住岡夜晃全集第9巻「やすらぎ」)